マーケティングデータからペット業界をみる -2017年予測データより
■ペットは家族へ、市場は伸びている
2016年市場規模 4245億円(前年比4.8%増)
2017年市場規模予測 4364億円
(国内ペット関連市場 2017年富士経済)
2017年に行われた富士経済の調査を引用させていただきました。ここでいう、ペット関連市場とは「ペットフード」「ペットケア用品」「ペット生活用品」の3カテゴリです。
実際は、”ペット関連”というくくりでは、動物病院で出される医薬品や、療法食、さらにペット連れ旅行、ペット仕様の車、などこの中でカウントされていない関連商材はあるものの、市場規模の伸びは間違いないでしょう。
■表面上の数字からわからない市場の伸び
さて、この4.8%の伸びが大きいか小さいかという議論はさておき、では本当の伸びはこの通りなのでしょうか。
それは、犬や猫の頭数から一つの推測ができます。まずは2つのデータを見比べてみます。
(1)自治体
2015年 全国の犬の登録犬数 6,526,897頭
2016年 全国の犬の登録犬数 6,452,279頭 (前年比1.1%減)
(平成28年度全国及び東京都犬の登録頭数等)
(2)民間協会調査
2015年 犬の飼育頭数 9,438,000頭
2016年 犬の飼育頭数 9,356,000頭(前年比1.0%減)
2017年 犬の飼育頭数 8,920,000頭(前年比6.5%減)
(全国犬猫飼育実態調査 結果 日本ペットフード協会)
自治体に届けている登録犬数と日本ペットフード協会の飼育頭数には乖離はあるものの、共に2016年が前年比1%減と、トレンドはほぼ同じとみてよいでしょう。
ただ、逆に同協会によると猫の飼育頭数は伸びているとのことですので、猫と犬の飼育頭数の合計で検討した方が良いと思います。
(2)-2
2015年 犬・猫の飼育頭数 18,715,000頭
2016年 犬・猫の飼育頭数 18,665,000頭(前年比0.3%減)
2017年 犬・猫の飼育頭数 18,446,000頭(前年比1.2%減)
(全国犬猫飼育実態調査 結果より犬と猫を合計 日本ペットフード協会)
やはり、犬、猫合計しても減っていることには間違いなさそうです。
前述にある富士経済の分析でも、「猫のプレミアムフードの伸び」「ペット保険の伸び」に触れています。
飼われている犬、猫が減っているのに、その子たちにかけるお金は増えています。
■ベビー業界と比較してみる
ベビー業界を見てみても、少子化が進み、出生数は減るも、ベビースキンケア市場、ベビーフード市場は伸びています。
2016年ベビースキンケア市場規模 137億円(前年比2.2%増)
2017年ベビースキンケア市場規模予測 142億円
(国内トイレタリーグッズ市場調査 2017年富士経済)
ベビーおむつは、インバウンドの影響がありますので、生活必需品であるが、わざわざ手をかけてお手入れしてあげるともいえる両方の要素が包括されたスキンケア市場と比較してみました。
2016年の出生数を見ても、減少の一途をたどる日本の出生数ですがそれに屈せず市場規模は伸びています。
■これからのペット業界
ベビーと同じような現象が起きているペット業界ですが、中身は全然異なります。
ペット業界は、そもそも繁殖業者、生体販売、飼い主教育、保護犬・保護猫問題など、市場だけでは語れない部分が多くあります。
ただ、この数字からもわかるように、「ペットは家族と同じ」という考えの基、とても大事に育てられ、お金もかけてもらえる存在でもあることは事実です。
まだまだ問題が山積みな日本においては、先進国の動きを見ながら市場を活性化していくことは、この業界においては大切なことではないかと思っています。
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